研究概要 |
本研究は、義歯床圧に対し義歯を支える顎骨の反応について遺伝子発現の視点から解明することにより、義歯の設計や負担様式の判断に役立てることを目的としている。平成19年度は実験モデルとして、(1)ラット下顎骨を用い、はじめに義歯装着の時期を判断するために抜歯窩の治癒を検討した。実験には5週齢雄ラットを用い、ジエチルエーテル、ネンブタール麻酔後、下顎臼歯抜歯用に調整した固定台に設置し、また専用のヘーベルと抜歯鉗子によって抜歯を行った。抜歯後1,2,4,6,8週後、ギ酸脱灰後、組織標本を作製した。歯槽骨は歯槽頂の抜歯窩面から吸収がおこり、4週後には、大部分が新生骨で満たされた。抜歯窩が安定したと思われる4週後に第一臼歯部の印象を採得し、義歯を作製し装着した。義歯装着後の1,2,4週後に過剰麻酔にて屠殺し、標本を作製中で、平成20年度において骨芽細胞、破骨細胞、骨のリモデリングについて形態計測学的に検討する予定である。(2)また予備的にラット脛骨を用いて、圧縮力に対する内部構造の変化を形態学的に確認するために、15週齢のオスラットを用い、ジエチルエーテル、ネンブタールにて全身麻酔後、皮膚切開、脛骨近位端にコイルスプリングを用いた圧縮力を加えた。組織形態学的検討を目的として組織標本の作製を予定している。平成20年度には組織標本から下顎骨でのモデルと同様に、骨芽細胞、破骨細胞、リモデリングを検討する。
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