研究概要 |
これまで,申請者はHAの微粒子を露出した歯質表面に高速で噴射し,常温常圧下(室温大気圧環境下)で直接HA膜を形成し,歯質一生体材料間に全く新しいインターフェイスを創成することに成功している.本研究では,PJD噴射条件を変化させた時のHA膜の機械的,構造的評価を行うとともに,HA膜の機械的,構造的変化を測定,評価し,成膜条件,噴射HA粒子の結晶構造との関係について検討した,これらから,PJD装置ノズルを走査させることで、約3×4mmにも及ぶ幅広い成膜が可能であり,従来の約10μmの膜厚と比較して最大膜厚約40μmまで増加することが確認された.また,HA膜の引張り試験を行ったところ,HA膜-エナメル質界面での剥離はみられず,HA膜が歯質基板に非常に強固な接着をしており,引張り強度は約14MPaであった.これはコンポジットレジン-エナメル質間の引張り強度とほぼ同様であり,臨床応用にあたって充分な強度を有していると考えられる.今後もHA粒子より強固な成膜を目指すための条件設定指針について検討し,さらにFやAgを添加した抗菌性を有する機能性HA粒子を合成し,虫歯予防のための機能性HA膜創成に関しても検討していく予定である.
|