本研究では、親水性光重合型樹脂を用いて骨欠損部の骨再生を試みた。 1. 複合材料の作製 コラーゲンにレジンを含浸させ、その気孔率を確保しつつレジンにて補強できる条件は回転数2000rpm、保持時間60sであった。その条件下で直径8mm、高さ2mmのコラーゲンにa. ウレタンジメタクリレート(UDNA)/メタクリル酸(MAA)b. ビスフェノールAグリシジルメタクリレート(Bis-GMA)/トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)c. UDMA/TEGDMAを含浸させ光重合にて硬化し複合材料を作製した。 2. in vivoにおける評価 ラット頭蓋骨に直径8mmの骨欠損を形成し、作製した複合材料を埋入し2週後および4週後にと殺を行い組織学的観察を行った。 3. 組織学的観察 ・ 2週 a. 既存骨と複合材料を埋入した部位の境界には新生骨の形成が認められた。しかし、複合材料のレジンと思われる像の周囲には炎症性の細胞浸潤が認められた。 b. c. においても同様の所見が得られた。 ・ 4週 a. 境界部の新生骨の形成はさらに進み複合材料のレジンを一部取り込むように骨形成が認められた。ただし、新生骨の形成は境界部にのみ認められ、埋入体の中央部においては新生骨の形成は認められなかった。 b. c. においても同様の所見が得られた。 コントロールとしてコラーゲンを用いたが、2週および4週共に既存骨との境界部において新生骨の形成が認められ、特に4週においてその範囲は上記複合材料を用いた場合よりもより広範囲に及んでいた。 以上のことより、今回用いた親水性光重合型樹脂はin vivoにおいで生体親和性が認められ、骨再生における新しい材料として用いることが可能であると示唆された。
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