研究概要 |
本年度は意図的に負荷した荷重がインプラント周囲骨に及ぼす影響を明らかにするため, 以下のとおり研究を実施し。 ● 対象と方法ビーグル犬6頭の両側下顎小臼歯部を抜去し無歯顎部を用意し、3ヵ月の治癒期間ののち同部にインプラントを3本ずつ埋入。偏位量0.1mmを与えることのできる上部構造を作製し装着. これらのビーグル犬を、抜歯前負荷群、抜歯後負荷群、コントロール群の3群に分け、それぞれの条件を与え対象とするインプラントのトルク値、ISQ値、骨ラベリングの範囲を測定し、これらの結果からモデリングの程度を評価した。 ● 結果 : 荷重を付加することにより、明らかにインプラント周囲骨の新生骨量の増加が見られた。コントロール群では、観察期間を通じて新生骨の増加は見られなかった(3ヵ月)。しかしながら抜歯前群と抜歯後群の間に有意な差は認められなかった。全ての対象としたインプラントの埋入時のトルク値は良好であり、また、過重負荷後の観察期間終了時におけるISQ値は50以上であったことから、全てのインプラントのオッセオインテグレーションは獲得され維持できていた。 ● 考察 : 可顎遊離端部にインプラントを埋入し、上部構造を装着して良好な経過を得た症例は現在となっては多く存在する。しかしながら時間経過とともにインプラントの隣接天然歯が歯周病や歯根破折などにより、抜歯適用となり、インプラントを追加埋入が必王となる症例は多数みられる。この様な症例に対して追加埋入を前提としてインプラントに荷重を加えることにより良好な予後が得られる可能性が示唆された。
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