我々は以前より、マウス骨芽細胞様細胞株( MC3T3-E1 )にガラスシリンダーを用いてメカニカルストレス(持続的圧縮力)を加える実験系を用い、持続的圧縮力特異的にCox-2 (cyclooxygenase2)、およびHsp25 (heat shock protein 25)のmRNA、およびタンパクが細胞外マトリクスであるインテグリン、MapkinaseのERKの系を介して、発現誘導されることを示した。今回、発現誘導されたHsp25の機能を明らかにするために、siRNAによりHsp25のノックダウンを行ったMC3T3-E1細胞に圧縮力を加え、caspase3の活性と、cell counting kit を用いて、細胞数を計測、さらにTunnel染色を行い、アポトーシス反応の検出を行った。 その結果、コントロール群はcaspase3の活性が見られたのに対し、siRNAによりHsp25をノックダウンした骨芽細胞は、圧縮力によるcaspase3の活性化が抑制されており、生存している細胞数の減少がみられた。また、Tunnel染色により、アポトーシス反応を示す細胞が認められた。こレらの結果より、siRNAでHsp25をノックダウンすると、圧縮力によるアポトーシス反応が促進されることが示された。以上より、圧縮力により発現誘導されたHsp25は、圧縮力をうけた細胞のアポトーシスを抑制していることが示された。 今後は、ラットに純チタン棒を埋入し、in vivo でも周辺骨にHsp25が発現しているかどうか、アポトーシス反応が誘導されるかを実験していく予定である。
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