平成19年度研究計画に基づき矢状・側方切歯路の調整機構を組み込んだゴシックアーチトレーサーの試作および調整機構の構成・材質の検討を行った。 正常有歯顎者の上顎模型を咬合器(申請設備)にフェイスボウトランスファーしたのち、中心咬合位にて下顎模型を咬合器に装着した。咬合器上にて既存のゴシックアーチトレーサーのセッティングを行い、第一段階として側方切歯路の調整機構をどのような形で組み込むかの検討を行った。構成・材質について試行錯誤の結果、調節機構については(1)各種展開角を有する可撤式のジグを用いることにより、展開角を調整する側方切歯路調節機構を描記板上に設置する。(2)曲面を有する可撤式のジグを前後方向にスライドさせることにより展開角を調整する側方切歯路調節機構を描記板上に設置する、の2つの方法を考案した。材質については(1)金属板を屈曲して用いる。(2)常温重合レジンを成型、調整する、の2つの方法を考案した。上記の2種類の調節機構部を試作し咬合器上での左右側方運動に支障がないことを確認した。 咬合器上での左右側方運動はいずれの方法でも可能であるとともに、既存のゴシックアーチトレーサーと比較して明らかに咬合挙上量が少ない状態での左右側方運動が可能であることが確認された。 現在、本装置の収納スペースに関する問題、強度上の問題等、について検討を行っており、来年度は矢状切歯路の調整機構部を試作するとともに、口腔内での応用を実施する予定である。
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