研究概要 |
歯科領域では,インプラントを用いた補綴治療が選択される機会が増加の一途をたどっており,今日では補綴治療の一選択肢としての地位を確立しつつある. しかしながら,従来のインプラント治療においては骨の創傷治癒に十分な期間を設けたり,埋入後にも完全なオッセオインテグレーションが得られるまで十分な待機期間を設けるなど,治療開始から一連の処置が終了するまでの期間が長くなる傾向にある.このため,抜歯後即時埋入や即時加重,早期埋入や早期加重などの術式が開発され一部の症例で応用されているが,本術式では埋入直後に十分な初期固定が獲得できることや,可及的速やかに十分なインプラント周囲骨の形成がなされることが要件であり応用範囲が限定きれているのが現状である. そこで,本研究では強力な骨誘導作用を有するオクタカルシウムフォスフェートを用い,インプラント周囲骨の形成促進を試みる.これにより,早期の骨形成による治療期間の短縮や,強固なオッセオインテグレーションの獲得による長期的な予後の安定を試みるものである. 本研究では実験動物を用い,インプラント床にオクタカルシウムフォスフェートを貼付およびインプラント表面にコーティングし,経時的に組織像の観察,組織形態計測およびインプラント除去トルク値について比較検討を行うことにより,応用方法による効果の違いを明らかにする.
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