研究概要 |
前年度に引き続き、対象とする幼若ラットは i) 対照群、ii) 新生仔Capsaicin処理群、iii) 新生仔CFA局所投与群、ならびに iv) 新生仔Capsaicin処理+CFA局所投与群の4群について検討した。新生仔Capsaicin処理は報告者による過去の生理学的検討(Brain Res., 906 : 1-12, 2001)と同様の条件で、生後2および3日後に50mg/kgを頚背部皮下投与した。新生仔CFA局所投与は、Rudaらの報告(Science, 289 : 628-630, 2000)を参考に生後4日目に右側下顎角部への局所投与を行い、左側は対照とした。各群について5-7日齢でエーテル深麻酔下に4%パラホルムアルデヒドリン酸緩衝液を用いて心臓からの灌流固定を行った。一晩以上の浸漬固定後、通法に従いパラフィン包埋ブロックを作成し、滑走型ミクロトームにて水平断スライスとした。免疫組織化学標本との比較のため、まずクリューバ・バレラ染色による染色を施し、顕微鏡デジタルカメラにてデジタル画像を記録した。免疫組織化学的検討は、まず痛覚情報伝達の可塑性に重要な役割を担っていると考えられるBDNFについて行うこととし、各群水平断スライスに対して抗ラットBDNF抗体を用いた酵素抗体法による免疫染色を試みた。その結果、スライスにより染色性が不安定であり、群間の比較には至らなかった。安定した標本を得るためには、固定・脱水・包埋条件のより一層の均一化ならびにペプシン処理もしくはマイクロウェーブ照射などによる抗原賦活を併用した免疫染色が必要と考えられた。
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