【目的】ナノバブルを超音波造影剤として用いることにより、口腔癌リンパ節転移や局所再発を早期に診断するシステムを開発する。【材料及び方法】実験1 : Luciferase遺伝子導入されたマウス乳がん細胞またはマウス結腸がん細胞をSCIDマウスに接種し、その固形腫瘍の中心部にシスプラチンを投与する群と投与しない群に分けた。マウス尾静脈よりナノバブルを注射し、処理後の体積変化と血管密度をイメージングシステムで測定した。同時にLuciferaseタンパクの発光強度をin vivo生体発光イメージングシステムにより解析した。また、免疫染色による腫瘍内新生血管の検索を行った。実験2 : Luciferaseタンパク発現腫瘍をマウス鼠径リンパ節に接種し、この実験腫瘍の腋窩リンパ節への転移腫瘍をナノバブルと超音波を用いた画像診断システムで、腫瘍微小血管の2次元および3次元構築画像として、経過時的に捉えるとともに、in vivo生体発光イメージングシステムを用いて腫瘍の増殖状態を確認した。 【結果】実験1 : マウス乳がん細胞および結腸がん細胞におけるルシフェラーゼ活性の経時的変化と腫瘍体積変化はいずれも相関した。高周波超音波イメージングシステムにより腫瘍内血管を可視化し、さらにスーパーコンピューターにて血管構造を構築した。腫瘍内の新生血管は免疫染色で確認した。腫瘍内血管密度は、腫瘍の大きさにかかわらずほぼ一定であった。実験2 : ナノバブルと超音波を用いた画像診断システムを用いることにより、数mmレベルの腫瘍の腫瘍微小新生小血管の2次元および3次元画像の構築が可能であった。【結論】高周波超音波イメージングシステムは3次元的に体積を測定でき、さらに微小リンパ節転移の早期診断や治療効果をリアルタイムかつ非侵襲的に観察することができる可能性が示唆された。
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