研究概要 |
平成19年度は以下の内容に取り組み研究成果をあげた。 In vitroにおける抗腫瘍効果と血管新生抑制効果の評価 口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-3)を用いて、HDAC阻害剤(SAHA)またはDNMT阻害剤(Decitabine, Zebularine)と各種抗癌剤(シスプラチン、5-FU)を併用し、抗腫瘍効果の検討をTUNEL法で、血管新生因子(VEGF-A、 VEGF-C)の産生についてはELISA法で解析した。 【結果】抗癌剤単独処理に比較して抗癌剤とSAHAやzebularine(ZEB)を併用することで、アポトーシスが増強した。しかし、このアポトーシス増強効果は併用する抗癌剤の種類に依存し、5-FU/ZEBの組み合わせでは逆に5-FUの細胞毒性を減弱するという、興味深い知見が得られた。この薬剤の減弱作用についてのメカニズムは現在解析中である。 血管新生因子に対する効果として、SAHA、 ZEBともにVEGF-A, VEGF-Cの産生を抑制した。この抑制メカニズムとして、ZEBによるHypoxia-inducible factor-1α(HIF-1α)の分解が示唆された。 【研究成果の意義】19年度の研究実施結果により、エピジェネティクス制御剤であるSAHAやZEBは口腔癌の薬剤感受性増強や癌の血管新生抑制に有効であることが示唆された。特に、ZEBによる血管新生因子の抑制と、その抑制にHIFが関与している事は今までに報告されていない新知見である。
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