近年、患者のQuality of life(QOL)の向上が重要視されるなかで、手術に伴う術後の知覚変化、機能変化は克服されるべき課題である。口腔外科領域で、下顎枝矢状分割術(SSRO)は最も安定性の高い手術方法の一つであるが、この手術方法の問題点として術後の三叉神経第III枝領域の知覚変化が挙げられる。今回われわれは、顎矯正手術後の患者の知覚変化を高い時間空間分解能を特徴とし非侵襲的検査である脳磁図(magnetoencephalography : MEG)検査にて検討し、脳内での口腔顎顔面領域の知覚変動認識メカニズムを解明、包括的リハビリテーションの確立を目標とした。 顎矯正患者に対し、術前、術後1ヶ月、術後3ヶ月、術後6ヶ月のCPTを計測した。術後、知覚異常の回復傾向をとらえるととができた。 さらに顎形症患者の術後経過をMEGで解析するにあたり、矯正装置によるノイズ、適切な刺激装置の開発が題点として挙げられた。そこで、健常人ボランティアによるMEG検査をおこない、ノイズ発生の有無を検討した。安定した口腔内刺激装置を検討し、安定した口腔領域刺激部位を検討した。 現在、健常人ボランティアによる検討を重ね、患者応用へ向けてプロトコールを作製している。患者への応用によりに得られる知見は、複雑な知覚の脳内認知メカニズム解明に有意義であり、知覚異常に対するリハビリテーション、治療法の確立に大きく貢献できるものと考えられる
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