研究概要 |
最近、造血器疾患の治療として造血幹細胞移植(HSCT)の適応が増加し、患者の移植後の生存率が上昇している。しかし、移植前から移植後の口腔管理については明確にされておらず、統一された見解は得られていない。そこで、HSCT患者の移植前から移植後の長期にわたる口腔管理基準を確立することを本研究の目的とした。すでにわれわれが報告した移植前歯科管理プロトコールに基づき(Yamagata K, Bone Marrow Transplant 38 : 237-42, 2006.)、新たに84例の移植前歯科管理を行い、全例で移植中に歯性感染症を生じず、本プロトコールは適切な移植前歯科管理プロトコールであることを確認し報告した。さらに、埋伏智歯の移植前管理に重点をおき、35例の患者で研究を行い、無症状の智歯は抜歯を行わなくとも、HSCT中の免疫抑制時に感染源となる危険性が極めて低いことを確認し、"Prospective study establishing a management plan for partially erupted third molar in patients undergoing hematopoietic stem cell transplantation"として現在、論文投稿中である。 また、生着前免疫抑制時の口腔管理に関しては、前向きに口腔管理を行った群と行わなかった群に別け検討したところ、口腔管理群で移植中の口内炎を軽減させることを確認した。
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