研究概要 |
我々は波長405nmをもつ半導体レーザーが、臨床における多種多様な軟組織疾患に有効に応用できるか判断するために、軟組織に応用した際の組織学的変化、レーザー照射時の熱状況などの基礎データを収集し、その上で生体を用いて影響を調べ、将来、臨床に応用できるように一連の研究を開始した。 まず波長405nm紫色半導体レーザーの軟組織における蒸散効率を調べた。In vitroの実験で、種々のファイバーを用い、固定照射、スキャン照射を行い、蒸散量、切開深さ、切開幅さらに凝固変性層の幅を調べ、同時に組織学的評価を行った。また、熱の影響を、サーモグラフィーを用いて調べた。全ての照射条件を検討し、熱の温度上昇が少なく、蒸散効率のいい照射条件を得ることが目的である。,その結果、本レーザーは低出力でも高い切開能力や凝固能力を持ち、また僅かの炭化層しか形成しないという優れた利点を持つことがわかった。これらの研究成果の一部はLaser Physics Lettersに発表、掲載された。 また一方で、我々は軟組織手術に際して、より生体に安全で効果的なレーザーの使用法を模索してきた。表在性の口腔病変をレーザーにより切除や蒸散を行う際に、あらかじめ液性の薬剤を病変周囲に注入する方法を併用することで、より手術が安全に行うことができ、さらに生体への熱障害のリスクを下げることが可能ではないかと考えた。これらの手法の臨床応用とその研究成果は第19回レーザー歯学会総会・学術大会で学会発表を行い、またLasers in Medical Scienceに論文が掲載(現在はまだオンライン上)された。 引き続き405nm半導体レーザーの特性の解析を行っている。
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