ヒトロ腔癌の手術検体を試料として、タンパク切断酵素活性部位のモチーフを有するADAM(a disintegrin and metallopfotbase)タンパクの遺伝子の癌組織における血管新生への関わりを解明するための研究を進めた。ヒトロ腔癌の手術検体は術前の治療や部位により条件に相違が生じるため、条件を揃えた検体を入手するに時間を要した。当初予定していた、本年度の予定ではADAM遺伝子の発現をRT-PCRと組織切片によるin situ hybridizationで確認する予定であった。いくつかのADAM遺伝子のRT-PCRでのmRNA発現は、確認された。但し、手術検体は採取場所により組織構成が異なり、癌組織内でも壊死部分と健全組織への浸潤している境界では構成が異なるため、組織状態によるADAM遺伝子の発現についても検討している。また、ADAM19と関わりがあると予想しているVEGFとのかかわりについては、現在解析中である。癌組織で血管新生が活発に行われる場としては、癌の浸潤における癌組織と健全部分の境界が挙げられる。その場合、癌組織側と健全組織側でADAMの発現も変化している可能性があり、その点についてレーザーマイクロ代セクションによる試料採取をして、mRNAをリアルタイムPCRで発現を確認する予定である。またタンパクレベルでの発現を検討するためにWestern blotで現在解析中である。また、免疫組織染色によるADAMタンパクの局在も解析中である。
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