研究課題
前年度に引き続き、骨補填材料を家兎顎骨に応用した際の経時的変化を観察した。材料はα-TCP(α型リン酸三カルシウム)製剤を使用。実験グループはα-TCP群およびコントロール群に大別した。家兎の鼻背部を切開、骨膜まで剥離し、慎重に骨削して鼻腔粘膜を損傷しないように小孔をあけ、鼻腔粘膜を骨面から剥離しつつ圧下させ長さ8mm、直径2mmのチタン製スクリュー型インプラント体を植立した。すなわち骨面と鼻腔粘膜との隙間にスクリューが露出するようにし、小孔よりα-TCP製剤をスクリュー周囲に充填した。コントロール群ではインプラント周囲にコラーゲンスポンジを充填した。各群において手術後4、12、24週経過時に屠殺、当該部位について形態的・組織学的評価を行った。その結果、経時的に補填材料周囲から骨組織の新生が進行していくのが確認された。すなわち時間が経つほど周囲の骨梁は多くなり、補填材料を取り巻くようになっていった。また材料内部へ骨梁が侵入している所見や、材料の粒子が崩壊しそれを骨組織が取り込んでいる所見も経時的に多くなった。骨組織周囲には常に多くの骨芽細胞がみられた。コントロール群では、総じてこれらの所見は乏しかった。また組織標本において画像解析を行い、補填材料が圧下した鼻腔粘膜に接する箇所における新生骨組織の面積を計測、各時点で比較したところ、経時的に有意差をもって増加しており、コントロール群との差も明らかであった。平成21年度はさらに免疫組織化学的評価を加え、補填材料が骨組織に置換していくメカニズムを詳細に解析し、学会ならびに論文発表にて結果報告したい。
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