平成19年度の研究では、ウサギ頭頂骨に内径6mm、高さ8mmの規格化されたチタン製キャップを作成した。パルス電磁場刺激(PEMF s)を応用する前段階にて、組織工学的手法である培養骨を用いて骨の再生を確認し、キャップの大きさが適当な空間であることを確認した。ウサギ頭頂骨にキャップを装着し、キャップ内には事前に腸骨骨髄から採取培養された幹細胞と多血小板血漿(PRP)からなる培養骨を挿入した。1キャップ内に1.0×10^6個の幹細胞を挿入した。キャップを頭頂骨に固定し、磁場強度0.3【mT】、周波数100【Hz】、パルス幅25【μSec】の条件下のPEMF sを開始した。一日8時間PEMF sを与えた状態で、刺激開始4週後の骨形成量を非脱灰研磨標本によって蛍光ラベリング像と塩基性フクシン・メチレンブルー重染色像から画像解析し検討した。PEMF s非刺激群の新生骨量は43%であったのに対し、PEMF s刺激群では新生骨量は68%を示し、骨再生率がPEMF sによって25%増加していた。今回の結果から、PEMF sは骨再生において有効なツールであることが示唆された。今後は、PEMF sの最適(骨再生の為の)な条件設定として刺激の強度、時間、期間を検索すること、細胞の条件、足場の条件など組織工学的条件の改良点を明らかとすること、PEMF sの細胞への影響を組織的、遺伝子的な観点から明らかとすること、以上の項目について検討する必要性があるという結論に至った。
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