研究概要 |
Differentiation-inducing factor(DIF)は, 細胞性粘菌Dictyostelium discoideumが分泌する物質で粘菌の柄細胞への分化を誘導する物質として単離された. DIFは粘菌細胞以外にも哺乳類細胞で分化誘導作用や増殖抑制作用を示すが, DIFのターゲット分子(結合タンパクや受容体)は全く不明であった. 2004年に, われわれは細胞内のセカンドメッセンジャーであるcAMP等を分解するphosphodiesterase(PDE)1がDIFのターゲット分子であることを世界で初めて発見した. そこで本研究では遺伝子変異部位に対するsiRNAを作成し, その導入を検討した. SK-Hep-1細胞等で遺伝子変異が確認できた部位に対するsiRNAを作成した. また, 他の悪性腫瘍細胞で同遺伝子変異部位を確認し, 他の細胞で遺伝子変異が無いことを確認した. 昨年度の研究でpositive controlとしてGAPDHのsiRNAをLipofectamine RNAiMAXにて導入し, 導入条件を決定した. そこで, 本年度はその導入条件を元にしてPDEICの遺伝子変異部位に対するsiRNAを導入した. Real-Time PCRでPDE1C mRNAと18s rRNAの発現量を定量し, 抑制率が70%以上である導入条件を確定した. この条件で細胞増殖試験を行ったところ, PDE1Cに対するsiRNAの作用で増殖抑制効果を認めた.
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