研究概要 |
本研究の目的は低酸素微小環境下におけるangiogeninを介する癌細胞の増殖および腫瘍血管新生機構を解明し, angiogeninを新たな分子標的とする癌治療への応用を目指すことにある. 19年度はangiogeninの発現レベルの高い口腔癌細胞株HSC2細胞に対して, angiogeninをノックダウンするためにウイルスベクターを用いたがangiogenin RNAi transfectantの作製が困難であった. そのため20年度はsiRNA発現プラスミドベクターを用いて遺伝子導入を行った. HSC2細胞に対して, angiogenin siRNA発現plasmid DNAならびにvector control plasmid DNAをEffectence(QUIAGEN)を用いて遺伝子導入後, puromycinで2週間選択してangiogenin RNAi transfectant(Ang-RNAi)およびvector control transfectant(Vector CNTL)を作製した. Ang-RNAiはnormoxiaにおいて, Vector CNTLと比較して有意にangiogeninの発現レベルは低下し, 細胞増殖も抑制された. さらにAng-RNAiはリボゾームの生合成および浸潤能も抑制された. angiogeninの分泌レベルはhypoxiaにおいてVector CNTLでは著明に増加した. 一方, Ang-RNAiにおいてもhypoxiaでangiogeninの分泌は増加していたが, Vector CNTLと比較すると分泌レベルの増加は少なかった. angiogeninの発現が抑制された状態では, hypoxiaの環境下でもVEGFの産本量は低下していた. 以上のことから, angiogeninとVEGFはリンクしていることが示唆された.
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