研究概要 |
予備実験として,独自に樹立したEMTを獲得していない細胞を用いて,マイクロアレイ法により網羅的遺伝子発現解析を行い,約60個のEMTが関連遺伝子を同定しだ.この結果は,同定した遺伝子群が,EMTを介した高度浸潤能の獲得に重要な役割を果たしている可能性が強く考えれる.その中で.VEGF-Cに着目し,VEGF-Cが誘導するEMTが浸潤と転移に大きく関与していることを細胞株と臨床検体を用いて証明することをめ的としている. 本年度は.独目に樹立した口腔扁平上皮癌細胞株とEMTを獲得した高度浸潤型口腔扁半上皮癌細胞株(当科で転写因子snai1を遺伝子導入し,EMTを獲得した高度浸潤型細胞株を含む)を用いて,以下の結果を示した. 1.当科所有の細胞株を用いて,VEGF-Cおよびそのレセプターを含めた関連遺伝子のmRBAの発現解析を行った.合わせて,本学倫理委員会の承認と患者の同意を得た臨床検体を用いて,これら遺伝子の発現を解析し,臨床病理学的に解析した.VEGF-Cは高度浸潤型細胞株で高発現が認められた.組織におけるVEGF-C,VEGFR3およびPodoplaninの発現を臨床病理学的に解析しところ,リシパ節転移の有無と有意に相関した(p<0.01). 2.口腔上皮癌細胞株をリコンビナントVEGF-Cで刺激して,細胞形態,浸潤能,増殖能の変化を検討しだ.細胞形熊,増殖能には変化は認めなかったが,浸潤能は有意に亢進した(pく0.01). 以上の結果をふまえて,平成20年度は,遺伝子導入を行い,詳細な細胞生物学的解析を行う予定である.
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