研究概要 |
分泌蛋白質もしくは膜蛋白質はがんにおいて重要な役割を果たしており、診断マーカーや分子標的治療となりうる可能性を持っている。本年度も前年度から引き継ぎ、新規口腔癌バイオマーカーの同定をすべく、分泌蛋白質もしくは膜蛋白質をスクリーニングすることを目的とし以下の通り実施した。 分泌蛋白質の同定には、これまでバイオインフォマティクスやcDNAマイクロアレイ、MALDI-TOF MS、シグナル・シークエンス・トラップ法など様々な方法で試みられているが、これらには限界がある。分泌蛋白質にはN末端に特徴的なシグナルシークエンスが認められるが、本研究ではこの特徴に注目し、シグナルシークエンスを有するcDNAが、インフレームで導入されることによりセレクションが可能となるベクターを構築した。cDNAライブラリーの作製には、口腔癌細胞2株と外科的に切除された口腔癌2例を使用した。EcoRI, NotI付加したcDNAを作成し、構築したベクターにライゲーショシを行い大腸菌によるセレクションを行った。得られたクローンはシークエンスによる配列確認を行った。既知未知を問わず、得られた遺伝子にはPCRにて重要正常組織、癌組織における発現を確認した。しかしながら、得られたクローン数が少なく、機能解析にまでは至らなかった。 本方法はpCAST法として2005年Cancer Reserchでのみ紹介されており、乳癌でのスクリーニングのみされている。その他の癌での報告は現在まだ皆無であり、今後の研究によりその有用性が期待されている。今後もわれわれは引き続き継続して研究を行う予定である。
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