口腔扁平苔癬(OLP)の病因は今なお明かにされていないが、近年、種々の疾患におけるToll-like receptor(TLR)シグナルの関与が示唆されていることより、0LIPにおいてもTLRシグナルの関与が想定される。そこで、その点について検討し、以下の結果を得た。 1)OLPにおけるTLRの発現を免疫組織化学的に検討したところ、TLR2は正常口腔粘膜上皮に比べてOLP病変部の粘膜上皮において強く発現されており、その発現分布は上皮上層よりも基底層により強く発現されていた。 2)健常人およびOLP患者の末梢血単球におけるTLR2/4/9の発現をFlow cytometry法にて検索したところ、OLP患者の末梢血単球は健常人のものと比較して、TLR2/4をより強く発現していた。 3)末梢血単球をTLR2/4/9のリガンドで刺激し、サイトカイン産生(IFN-ν、IL-12)をELISA法にて調べたところ、OLP患者の末梢血単球は健常人のものと比較してサイトカイン産生は劣っていた。 OLP病変部におけるTLR発現は正常粘膜上皮と異なっているとともに、OLP患者の末梢血単球におけるTLRシグナルにも健常人との間に違いが認められ、OLP発症にTLRシグナルが関与している可能性が示唆された。
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