研究概要 |
これまでに,臨床の場において癌周術期における免疫栄養(グルタミンおよびアルギニン高含有栄養食品の使用による)の役割およびその効果について検討を重ねてきた.本年度は,がん治療時(化学療法・手術療法)における,免疫栄養が果たす役割・効果について明らかにするために口腔がん細胞株を用いた検討を開始した.現在,通常培地およびimmunonutrients(グルタミン・アルギニン)を含有(濃度各種)・非含有の培地を用い口腔癌樹立細胞株(HSC-2,HSC-3,HSC-4,SAS,SCC-25)の培養を行い,細胞増殖能の検討を行っている.並行してこれらの細胞株に5-FU系薬剤を作用させ,抗腫瘍効果と栄養素との関係についての検討を継続している.さらに,これまでの研究(平成16年度〜18年度若手研究B)と関連する内容として,5-FUの代謝酵素のうち副作用の発現と関連するとされる酵素であるDPD(ジヒドロピリミジン脱水素酵素)とOPRT(オロテートホスホリボジルトランスフェラーゼ)の発現の有無と上記の実験における結果との関連についても検討を行っている. また,癌細胞そのものの有害事象の発現に対する関与について検索し,特に起炎性という点から5-FU作用後の癌細胞株の上清における炎症性メディエーターを検索し各々の培地間での比較を行っている.
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