研究概要 |
ヒト唾液腺のクローナルな培養系の確立 ヒト唾液腺細胞のクローナルな培養系を確立に先立ち至適培養条件を検討した。10%FBS DMEMIF12培地で培養したところ、高密度(10000cells/cm^2)、低密度(1000cells/cm^2)ともに細胞の生着が見られたものの増殖は見られなかった。無血清培地で培養したところ高密度培養では細胞の生着と増殖が確認されたが、低密度培養では細胞の生着も増殖も見られなかった。その結果、血清含有培地を用いて2日間培養し細胞がディッシュに生着した後に無血清培地に培地交換を行う手法を用いることで低密度培養が可能になるとの結果を得た。300cells/cm^2の低密度培養を確立し、本実験での培養が単細胞からのコロニー形成が認められる、すなわちクローナルな培養系であることが観察できた。 この培養系で得られたコロニーについて培養7日後にコロニーアッセイ法を用いて幹/前駆細胞の分離・培養を試みたところ、腺房細胞マーカーであるAmylase、Aquaporin3(AQp3)、導管細胞マーカーであるCytokeratin7(CK7), Cytokeratin14(CK14)、Ctokeratin18(CK18)筋上皮細胞マーカーであるSlnooth muscle actin(SMA), Vimentin(VIM)がRT-PCRで確認されm-RNAレベルでの細胞の分化が示唆された。さらに免疫染色では、AQP3、Amylase、CK7、CK14、SMAが確認できた。すなわち本培養系を用いて分離された細胞にはコロニー形成後、唾液腺組織を構成する全細胞への分化も認められた。さらにヒト唾液腺中には唾液腺を構成する全細胞へ分化しうる唾液腺幹/前駆細胞の存在が示唆された。
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