顎顔面の硬組織変化に対する軟組織変化について検討することを目的とし、予備研究としてCTおよび非接触型三次元計測装置から得られた顎顔面硬軟組織情報の統合、評価を試みた。 対象は骨格および顔面形態精査のためCT撮影および顎顔面三次元計測を行った顎変形症患者15名とした。CTはSomatom Plus4 VolumZoom(Siemens、Germany)を用い、医療画像ビューアOsiriXにて軟組織データの抽出を行った。顎顔面軟組織の計測には、非接触型三次元計測装置VMH-300F(UNISN、大阪)を用いた。この2つのモダリティから得られたデータはそれぞれ三次元汎用フォーマットであるSTL形式に変換し、リバースエンジニアリングソフトウェアImageware 12(UGS PLM Solutions、USA)上で重ね合わせを行った。この2つのモダリティのデータは、各々約数万個の点で構成される不規則な点表現の集合体である。そのままでは他群の点群データと一対一で対応しない。そのためImageware 12上で、対象としたい片方の点群データをポリゴンメッシュ化することでその解決を図った。 その結果、CTで得られた顎顔面軟組織と非接触型三元計測装置から得られた顎顔面軟組織との重ね合わせの平均の誤差は1.32+/-1.03mmであった。 本結果から、非接触型三次元計測装置を用いることで上記レベルでX線被曝が無く非侵襲かつ簡便な顎顔面軟組織の計測、評価が行いえるものと考えられ、顎顔面の評価手法として臨床応用が行いうると思われる。今後の展望として、(セファログラムなどの)従来からの手法との比較評価を行い、顎顔面の硬軟組織の三次元的分析手法の確立を目指し、さらには非接触型三次元計測装置データを筋骨格系を含めたボリュームデータへ還元し、術前・術後の顔貌予測シミュレーションへの応用を検討課題としている。
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