口腔領域において高頻度に発生する舌癌は早期にリンパ節転移をきたすことや、健側リンパ節への跳躍転移など転移経路に関して不明な点が多い。したがって、悪性腫瘍に分布するリンパ管を検索し、微小循環の特性を解明することが、きわめて重要であるといえる。しかし、これまで微小循環系を構成している末梢リンパ管は光顕的な鑑別が困難なため、詳細な報告はあまりない。したがって腫瘍組織におけるリンパ管の新生、構築を解析し、リンパ管内に侵入した腫瘍細胞が数々の免疫防御機構を回避して、定着・増殖していくのかを検討することにより腫瘍細胞のリンパ管浸潤・転移過程が解明できるものと思われる。
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