頭蓋顎顔面領域における疾患感受性遺伝子の特定に関する報告は、先天異常を伴わないものでは、今の所、国内外でわずかである。下顎前突症に関しては、疾患感受性遺伝子は未だ特定されておらず、その存在が示唆される染色体部位についても、連鎖解析の報告が1つあるのみである。骨格性下顎前突症の患者よりゲノムDNAを調製し、下顎前突症の原因遺伝子が全ゲノム領域のどの位置に座位しているかを明らかにすることを、研究目的とした。 今年度はまず、北海道大学病院を受診した外科手術を伴う骨格性下顎前突症患者のうち、ゲノム倫理委員会の承認のもとに同意・承諾を文書で得られた者より、血液一般検査時に血液(8.5ml)を採取し、DNA抽出キットを用いてヒトゲノムDNAを調製した。今年度で新たに約30名のDNAを調製したので、以前より収集したものと合わせて約200名分のサンプルを得た。これだけの数を用いた、頭蓋顎顔面領域の遺伝子解析は他に例をみないので、相関解析の精度は非常に高く、正確な結果が得られることが来年度以降に期待される。 続いて、サンプル収集を継続しながら、既に設定済みの全ゲノムを約100kbの間隔で網羅する多型マイクロサテライトマーカーを用いて、非血縁患者集団と非血縁健常者集団による相関解析を補正なしでまず行うための準備を行った。具体的には、サンプルの吸光度を測定して純度を確認した。さらにはサンプルを電気泳動して純度を確認した。
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