研究概要 |
骨細胞は骨系細胞の中でもづとも数の多い細胞である。その形態は非常に特徴的で、長い突起を持って骨細胞同士、および骨芽細胞とネットワークを形成している。骨細胞はその突起によるネットワークを生かして、メカニカルストレスを感知し、骨代謝を制御していると言われているがその詳細は不明である。骨細胞は周囲を硬い骨基質に覆われているために、その三次元的構造を観察することさえ困難であったからである。研究者は骨中の骨細胞、骨芽細胞を蛍光色素を共焦点レーザー顕微鏡を用いて3次元的に観察する方法を考案している。そこでその方法を応用することによって、骨芽細胞から骨細胞へと分化するに従い、流体剪断応力に対ずるカルシウム応答能が変化し、それはアクチン線維と密接に関係している細胞接着の変化と関係していることをつきとめ、発表した(Interface Oral Health Science, 2007)。これにより、骨芽細胞から骨細胞へ変化するとアクチン線維などの細胞骨格だけでなく、メカニカルストレスに対する応答も異なることが分かった。また、骨中骨細胞のアクチン線維などによって成り立っているネットワークは、ギャップジャンクションを介して3次元的に形成されていることもつきとめた(Microscopy and Microanalysis,2007)。また、細胞のアクチン線維はその細胞の弾性と密接に関与している。そこで細胞の弾性を調べた。その結果、骨芽細胞から骨細胞へ変化して行くに従いその弾性率は低下した(Bone,in press)。さらに、現在骨芽細胞から骨細胞への動態変化を調べるにあたり、FRET法を行うために、シアン蛍光タンパク質と黄色蛍光タンバク質とアクチンとの融合タンパクを作成している。
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