研究課題
我々はエナメル質の再生および齲蝕等の宿主感受性の原因や診断法の開発目標として、エナメル質形成に関わる分子の包括的な解析を行ってきた。これまでの研究でアメロブラスチン欠損マ之スにおいて、アメロジェニンの発現が著しく阻害され、エナメル芽細胞も細胞極性を失うことが明らかになっている。このことから、アメロブラスチンがエナメルマトリックスの発現制御およびエナメル芽細胞の分化に必須の分子であることは明らかであるが、アメロブラスチンの発現制御に関わる分子メカニズムは未だ不明である。また、我々はエナメル質形成不全を示す疾患である眼・歯・指異形成症の原因遺伝子であるGja1分子(別名コネキシン43) のエナメル芽細胞分化における役割を解明することを目的としてGja1欠損マウスを作製し、解析を行った。その結果、細胞間結合蛋白であるGja1分子が、アメロブラスチン発現制御に関わる新規分子であることが示唆された。そこで細胞間結合によるアメロブラスチンの発現制御の解明を目的として研究を行った。歯胚の形成期におけるGja1の発現に関しては、マウス臼歯では胎生13.5-14.5日では発現が認められず、胎生17.5日から発現が認められた。また、6週齢のマウス切歯の組織標本を用いてGja1の局在を検討した結果、分泌前期、分泌期および成熟前期のエナメル芽細胞に多く発現が認められ、成熟後期のエナメル芽細胞では発現は認められなかった。これらのことから、Gja1がエナメル芽細胞の分化時期特有に発現し、マウスのエナメル芽細胞において細胞の分化に重要であることが示唆された。さらに、歯原性上皮細胞株にGja1遺伝子を遺伝子導入し、Gja1遺伝子を過剰発現させた結果、アメロジェニンとアメロブラスチンの発現を減少させることから、Gja1がエナメルマトリックスの発現に影響を与えることがわかった。
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The Journal of Biological Chemistry 283
ページ: 3385-3391
小児歯科学雑誌 45
ページ: 541-545