以前の研究で我々は歯周病の治療に用いられ、アメロジェニンが主成分と言われているエムドゲインを解析することにより、エムドゲイン中にBMPが含まれることを発見した。更にエムドゲイン中にBMPが混じる原因を調べたところ、BMPとアメロジェニンが結合する事が判明し、そのメカニズムとしてヘパリン/ヘパラン硫酸を介して結合していることが判明した。 BMPは骨芽細胞に作用し、石灰化を促進することが知られている。そこでアメロジェニンとBMPによる骨代謝への影響を検討したところ、BMPによる石灰化にアメロジェニンは関与していなかった。このことから、アメロジェニンは骨形成に直接関与していないことが示唆された。更に高濃度エムドゲインを骨芽細胞に加えたところ石灰化が促進されたが、これはエムドゲイン中に含まれるBMPによるものと考えられる。次に骨形成におけるアメロジェニンの間接的影響を検討することにした。BMPと結合する分子としてnogginがあり、この分子はBMPの活性を阻害するアンタゴニストとして知られている事から、nogginに対するアメロジェニンの影響を検討することにした。その結果、nogginによるmP抑制効果をアメロジェニンが阻害することを突き止めた。 以上のことから、エムドゲインによる骨形成への効果はBMPによる効果が含まれており、エムドゲインの主成分であるアメロジェニンはBMPがアンタゴニストと結合するのを防ぐ補助的役割があると推測された。
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