本年度は昨年度の実験を引き続き行って、nの数を増やした。方法はウィスター系ラットを用いて、痛みとストレスの行動学的な解析を行った。痛みとストレスに対する行動学的なパラメータを確かめた、また、全身麻酔下で、脳手術にて脳慢性電極を埋め込み、視床下部ニューロン活動の記録を成功した。これと同時に、咬筋の筋電図を記録した。一群は口腔内にCo-Cr合金装置を切歯部に接着した。この装置は50グラム相当の力を発揮するものであった。もう一群は対照としてシャム装置を接着した。ペニシリン投与などによって感染症を防ぐことが出来た。装置脱落もなく、利用した動物の数はすべて成功した。実験群中の歯の移動量は一日にておよそ二ミリがあった。ストレス反応に関する結果として、以前より傾向に変わりがなく、実験群のラットには装置接着後の一日目に痛みやストレスを示す行動を認めた。行動学的なパラメータの中で、特に歩行行動や摂食行動の低下は特徴的であった。摂食行動は低下したのにかかわらず、咬筋の筋電図活動は上昇した。視床下部ニューロンの自発発火活動は実験群が対照群より低い頻度を認めた。データーの統計処理によって、有意に差を認めた。以前より、歯の移動によって歯根膜の機械的な感覚が低下することから、今回見られた歯軋りのような学運動はストレス反応の一つの要因であるが、これは歯根膜感覚入力を求めるために行われる行動ではない。これらの結果は国際行動学測定学会に発表した。
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