申請者は唾液中に不溶性グルカンの生成を阻害する物質が存在するのではという仮説を基にGTFase阻害因子の検索を行い、唾液中のリゾチームがGTFase阻害因子としての役目を担っていることを確認したが、ニワトリ由来であるため唾液リゾチームでの効果は不明な点が残されている。そこで、ヒト唾液リゾチームやアミラーゼをリコンビナントで作成し、GTFaseに対する効果を検証することを目的に、以下の研究を行った。1.リコンビナントプロテイン作製の継続(1)ヒト唾液リゾチームおよびアミラーゼをコードする遺伝子をoverlap extension法により作製し、リコンビナントプロテインを作製(2)S.mutansおよびS.sobrinusよりgenomic DNAを抽出し、gtfa、gtfb、gtfc遺伝子をPCRにて増幅し、同様にリコンビナントプロテインを作製。いずれも、酵素活性のあるタンパク質を得ることが困難であった。 上記に平行して、ヒトリゾチームのSNPsと齲蝕との関連を考察した。ヒトリゾチームSNPsはExon3にその殆どが存在するため、同部に存在するタンパク質の立体構造に変化をもたらすSNPsについて着目した。renal amyloidosisでは、SNPsによりLYZ asp67→hisのミューテーションが生じて発症する。このようなLysozymeの立体構造変化が齲蝕に及ぼす影響を考察した。
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