Leptin 500mg/mlをビーグル犬に作成した実験的3壁性骨欠損に投与したところコントロール群に比べて若干歯周組織の再生は認められたが、統計学的に有意差の認められる歯周組織再生は認められなかった。leptinの濃度の問題および生体におけるleptinの分解等が考えられる。しかし間葉系幹細胞を実験的3壁性骨欠損に投与し、歯周組織再生過程におけるleptinの発現動態を免疫組織化学的に調べた結果、leptinは歯槽骨再生初期過程における骨芽細胞およびその周辺の間葉系幹細胞が分化したと考えられる細胞に強く発現していることが示された。 また、骨分化能を有すると考えられているヒト歯周靱帯線維芽細胞の培養上清をヒト間葉系幹細胞に8日間作用させるとleptinのmRNA発現が約8倍上昇することがマイクロアレイ解析およびreal time PCR解析によって示された。同様にマイクロアレイ解析によってleptin 500ng/mlをヒト間葉系幹細胞に作用させるとSmad Ubiquitin Regulatory Factor 1(Smurf 1)の発現が約10分の1と有意に低下することが明らかとなった。Smurf 1はBone Morphogenetic Proteinのシグナルを抑制することから、レプチンによってSmurf 1の発現が低下することが、ヒト間葉系幹細胞におけるレプチンの骨文化促進の一端をになっている可能性がある。
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