研究概要 |
【目的】 唾液検査は、検体の採取法が容易であり、無痛下で採取が可能で、生体への侵襲がないなど、特にスクリーニング検査に有用である。以前我々は、活性酸素による酸化ストレスが歯周病の病態に関与し、酸化ストレスマーカーである8-OHdGが唾液中に検出され、健常者に比べ歯周病患者で高く、予後不良歯の存在が大きく影響していること、歯周病患者においては初期治療により臨床症状の改善と共に8-OHdG濃度が低下しすることを報告した。また、近年、歯周病に罹患することにより、唾液中の抗酸化力が低下することが報告されている。本研究では、唾液中の抗酸化力に影響を与える因子を検討する目的で、唾液中の抗酸化力と歯周病原菌(Actinobacillus actinomycetemcomitans、 Tannerella forsythiaおよびPorphyromonas gingivalis)および臨床パラメータの比較検討を行った。 【結果】 1)唾液中の抗酸化力は、唾液中のP.gingivalis量との間に相関を認められた(r=-0.50,P>0.05)。 2)唾液中の抗酸化力は、臨床パラメータとその他の歯周病原菌との間に相関を認めなかった。 【考察】 唾液中の抗酸化力と唾液腔のP.gingivalis量に相関が認められることより、唾液中の抗酸化力は歯周病患者のP.gingivalisの影響を受けていると考えられ、簡便に歯周病患者の唾液中のP.gingivalis量の変化を測定できることが示唆された。
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