研究概要 |
本研究の目的は、新たな幹細胞源としてヒト臍帯動・静脈周囲に存在する未分化間葉系幹細胞を用いた次世代のオーダーメイド歯周組織再生療法へ展開するための基礎データを得ることである。 鶴見大学歯学部倫理委員会の審査と承認のもと、連携医療機関で書面にて同意の得られた被験者より本年度は3検体の臍帯の提供を受け、以下の結果をえた。 臍帯由来間葉系細胞(以下細胞と略す)はSarugaserらの方法に従い、まずはじめに得られた臍帯を5~6cmに細切し、外膜を取り除いた。続いてWharton's jelly層より臍帯動脈および静脈を摘出しCollagenase Type I(1mg/ml, Sigma, USA)を用いて37℃で18~24時間酵素消化することで細胞成分を分離することで初代細胞を回収した。初代細胞は15% FBS含有α-MEM中に懸濁し、T-75フラスコに播種し37℃、5% CO 2条件下で培養を開始した。 2継代の細胞を通法に従い剥離、回収した後、得られた細胞についてCD44、CD34、STRO-1の発現解析を行うため、CD44、CD34およびSTRO-1に対するFITC標識モノクローナル抗体を、CD90、CD146に対するPE標識モノクローナル抗体用いたシングルカラー染色を行い、フローサイトメーターCytomics FC500Mを用いて各抗体の発現解析を行った。 その結果、CD44、CD90抗原は98%以上の細胞に発現していることがわかった。CD146は3検体中約50%発現するもの1検体、発現しないもの2検体と個体差が認められた。これに対し造血系幹細胞マーカーであるCD34抗原の発現細胞は確認できなかった。またSTRO-1の発現細胞の確認もできなかった。今後マーカー遺伝子の数、並びに臍帯の検体数を増やし細胞特性を解析する必要があると思われる。
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