研究概要 |
本年度は,1999年度から8年後の調査を行い,体力と咬合状態(Eichnerの分類)の変化および関連性について分析を行った。 調査参加者は382名で,1999年度に対して78.3%の参加率であった。まず,両年度ともに調査に参加した対象者について各体力測定項目について比較した。握力,脚伸展力,脚伸展パワーおよび開眼片足立ち時間は有意な低下が見られたが,ステッピング回数は有意に増加した。 そこで,ステッピング回数を除いた4つの体力測定項目について,1999年度の男女別の四分位を算出し,それらをカットオフ値として1999年度および2007年度の各体力測定項目をそれぞれ0から3の4つのクラスに分け,1999年度に上位50%であった集団,すなわちクラス2および3であった集団について2007年度にかけての体力の低下の有無と,1999年度のEichnerの分類との関係について分析を行った。体力の低下は,1999年度からランクが2以上下がったものを「低下あり」と定義した。 握力および脚伸展力は有意な関係が認められなかったが,脚伸展パワーおよび開眼片足立ち時間は有意な関係が認められた(それぞれ,p=0.026およびp=0.0054,カイ二乗検定)。つぎに,脚伸展パワーおよび開眼片足立ち時間を従属変数(低下ありを1とした),Eichnerの分類および性を独立変数としてロジスティック回帰分析を行ったところ,脚伸展パワーではEichnerの分類クラスBがクラスAに(Odds比:2.81,p=0.0395)対して,開眼片足立ち時間ではクラスCがクラスAに(Odds比:5.32,p=0.008)対して,体力の低下に有意に寄与していることが明らかになった。 今後は,本年度のデータや,質問紙や医科学的検査等で得られた情報を組み入れ,多変量解析などのより多面的な解析を行い,因果関係を明らかにしていく予定である。
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