研究概要 |
本研究の目的は、歯周炎再発のメカニズムを解明するための基礎研究として、歯周炎再発患者の唾液中に含まれるサイトカインを網羅的に定量解析し、歯周所見および唾液中の歯周病原細菌数との関連性について検討を行うことである。昨年度は、口腔疾患のないボランティアより唾液を採取し、マルチプレックスビーズテクノロジーを用いたサイトカイン濃度の測定およびリアルタイムPCR解析システムを用いた歯周病原細菌数の測定を行い、再現性が得られることを確認した。本年度は、研究への協力に同意した徳島大学病院に通院中の25歳から73歳までの25名の歯周病患者(男性9名, 女性16名, 平均年齢51.3±10.6歳, 平均現在歯数26.5±2.8本)から採取した唾液中に含まれるサイトカインおよび歯周病原細菌を定量解析し、歯周所見との関連性について検討を行った。その結果、インターロイキン1β, 8, 12, 18、腫瘍壊死因子α、インターフェロンγ、血管内皮増殖因子、マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージ遊走阻止因子、肝細胞増殖因子と4mm以上の歯周ポケットを有する歯数およびプロービング時に出血を認めた部位の比率との間に有意な正の相関が認められた。また、総細菌数に対する歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisの菌数の比率と5mm以上の歯周ポケットを有する歯数との間に有意な正の相関が認められた。一方、サイトカイン濃度と歯周病原細菌数との間に有意な関連性は認められなかった。
|