歯科疾患が自らの手で予防できることを児童が経験・習得すれば、歯科疾患に限らず健康を増進する能力の開発につながると仮説を立てた。この仮説を明らかにするため、児童の口腔の健康状態および健康生活習慣・日常生活習慣等を調査し、その状況をもとに健康教育を実施した。本年度は、学童のヘルスプロモーションの支援者である保護者や、学校関係者および保健医療専門家が実施すべき基本的ストラテジーを検討した。 調査対象は沖縄県U市立小学校に通学する3年生228名、4年生211名とした。口腔診査によりdf、DMF、OHI-S、PMAを求め、う蝕予防行動、歯磨き習慣、生活習慣および生活環境などについてアンケート調査を行った。統計解析はχ^2検定、Mann-Whitney検定および2項ロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を用いた。 3年生では未処置のう歯で「1日の歯磨き3回以上」、OHI-Sで「朝食食べる」、「睡眠時間9時間以上」、「出生順位」、「1日の歯磨き回数3回以上」(p<0.01)や「フッ素入り歯磨剤使用」(p<0.01)が強く影響を与えていた。4年生では未処置のう歯で「自分の健康は自分で守る」、「朝食食べる」、「虫歯が見つかったらすぐに歯医者さんに行く」や「出生順位」、OHI-Sで「虫歯が見つかったらすぐに歯医者さんに行く」や「ていねいな歯磨き」、PMAで「学校検診以外の定期的健診受診」(p<0.01)が大きな影響を与えていた。 以上のことから3年生ではPMAで今回調査した項目から強い影響ものは見出されなかったが、4年生では「ていねいな歯磨き」、「学校検診以外の定期的健診受診」が口腔状況に影響していることから、この時期までに定期的に健診を受ける習慣を定着させ、ブラッシング技術を向上させるとともに、一般的な健康行動を定着させるための健康教育も口腔状況の向上に重要であると思われた。
|