研究概要 |
本研究の目的は種々の早期う蝕検出・定量機器を用い,1)乳歯の初期う蝕形成過程におよぼすフッ化物歯面塗布およびフッ化物配合歯磨剤の影響,2)乳歯初期う蝕のモニタリングに適した早期う蝕検出・定量機器を検索,3)X線μCT等を用いた初期う蝕病巣内部の観察により,乳歯初期う蝕の発生プロセスを検索する事である.すなわち,現在の歯科臨床で行われているフッ化物の応用に代表されるう蝕予防処置の効果を判定するには,予防処置実施数年後に患部がう蝕になっていたか否かで判定している.しかし,モニタリングシステムを構築することによって,エナメル質の詳細が観察できれば,効果の判定に要する時間を短縮することができ,また,症状にあった予防の実践も可能になるため,本研究の意義があると考えている. 実験材料は健全な脱落乳歯を選択し,6つのグループに分類した.脱灰処理6時間,再石灰化処理18時間のpHサイクリング法により乳歯歯面に人工的初期う蝕病巣を作製する.なお,フッ化物配合歯磨剤の影響を検討するために,脱灰・再石灰化処理の間に濃度の異なったフッ化物配合歯磨剤溶液処理を行う.作製された初期う蝕病巣の観察には初期う蝕検出・定量機器Quantitative Light-Induced Fluorescence, DIAGNOdent^[○!R],ペンスコープを用いて行い,病巣内部の観察をTMRおよびX線μCTを用いて行い,それぞれの観察結果を比較検討することによって乳歯初期う蝕モニタリングシステムの検討を行う.
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