臨地実習時に看護学生が「患者の身体に侵襲を伴う看護技術」を経験することに、どのような意義があるか新卒看護師を対象とする調査を通して検討した。本年度は実施計画どおり、計3回の質問紙調査、および資料の閲覧によるデータ収集を行った。具体的な調査概要は以下のとおりである。 平成19年4月:大阪大学大学院保健学倫理委員会の承認の後、対象である大阪大学医学部附属病院の新卒看護師に対して研究の説明と協力依頼を行い、第1回の調査票の配布を行った。結果、103名の同意と参加を得た。調査内容は、学生時の看護技術の経験状況と到達度の自己評価、および、臨地実習時の看護技術の経験に関する思いである(結果は、平成19年12月第27回日本看護科学学会学術集会において報告)。 平成19年7月第2回の調査を行い、平成19年10月第3回の質問紙調査を行った。これらの調査では、臨地実習時の看護技術の経験に関して予備調査を踏まえて作成した質問紙により調査を行った。併せて臨床における看護技術の自己評価および他者評価を、資料閲覧によりデータ収集した。結果は、現在検討中で、次年度、発表予定である。今後、第4回の調査(最終調査)を実施し、第2回・第3回との比較を通して看護技術の意義を検討していく。 現在までの調査により、身体侵襲を伴う技術の多くは、経験することで技術の自己評価が高まることが明らかになっている。また、身体侵襲を伴う技術の経験のある場合とない場合とでは、臨地実習時の看護技術経験に対する考え方に差異が認められることが示されている。その他、現在の臨地実習に関して新卒看護師が感じる不足な点を明らかにすることができている。
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