研究概要 |
本年度は救命救急処置場面において看護師が行う患者家族への情報提供と,医療者間での情報伝達内容の明確化を目的とした。対象者は,高度救命救急センターに勤務する13名の熟練看護師とし,対象者が係わる重症救急患者の救急搬送から救命救急処置が一段落つくまでの間,対象者の行動や言動を観察し,フィ-ルドノ-トに記述した。また救命救急処置が-段落ついた後,対象者の業務に支障をきたさない時間を設定した上で,対象者に救命救急処置場面を振り返ってもらいながら,救命救急処置場面での情報提供と伝達についてのインタビュ-を半構成的面接法を用いて行った。 対象者の基本属性は,男性4名,女性9名で,平均年齢は38.25歳,看護師経験年数の平均は10.92年,救急領域での看護師経験年数の平均は7.62年であった。また,観察した救命救急処置場面は13ケースで,患者の平均年齢は62.53歳であった。そのうち意識レベルが清明で患者自身との意思疎通が可能であったのは3ケ-スのみで,残りの10ケ-スは,患者との意思疎通が困難もしくは不可能であった。インタビューは,一人につき20分〜50分程度行った。 観察とインタビュ-で得られたデ-タは,質的に内容を分析しカテゴリー化を行った。その結果,救命救急処置場面における情報提供の熟練した技として,「情報伝達経路を整理する」,「一呼吸置く」,「報告・連絡・相談を徹底する」,「不正確な情報は流さない」,「一瞬一瞬を大事にする」,「タイミングを見極め逃さない」,「人間関係を整える」などが見いだされた。 次年度は,収集したデータの分析を引き続き行い,救命救急処置を受ける患者家族への情報提供モデルの策定を試みる。
|