研究概要 |
平成19年度の研究は,20〜40歳代(38.25±8.79)の女性8名を対象に,温度、湿度を一定に調整した実験室において後頚部温罨法の実験を行った。具体的方法として,被験者に基本属性や健康状態についての質問紙調査を行い,ベッドで安静にした後に48.0℃±1.49に調整したタオル(以下,温罨法とする)を後頚部に10分間貼用した。測定は,温罨法の実施前(安静時)と実施中(直後,5分,10分),実施後(5分,10分,15分,20分)に血圧,脈拍,深部温,左右手掌・足底の皮膚表面温度および近赤外線脳酸素モニター(NIRO-200)による酸素化ヘモグロビン(O_2Hb)値の項目などを実施した。分析については,SPSS16.0を用いて統計処理を行った。倫理的配慮については,被験者に研究の趣旨を説明し,署名をもって同意とした。 <結果>後頚部温罨法による深部温の変化は,実施直後から徐々に温度が上昇し,実施前と比較して実施中10分から温度に有意差が認められた(p<0.05)。左右手掌の皮膚表面温度においても実施直後から有意な上昇を示した(p<0.05)。右足底の表面温度では,実施直後から実施後5分まで,左足底では実施直後と実施中5分に実施前の温度との有意差が認められた(p<0.05)。血圧および近赤外線脳酸素モニター(NIRO-200)による酸素化ヘモグロビン(O_2Hb)値については,現時点で統計的な有意差は認められていない。平成19年度の結果から後頚部温罨法による生体反応として,深部温や皮膚表面温度に対して影響することが示唆されたが,平成20年度は被験者数を増やし,詳細に測定項目の分析をすすめ,後頚部温罨法による生体反応を明らかにしていくとともに,近赤外線脳酸素モニターによる酸素化ヘモグロビン(O_2Hb)値などの脳血流量の変化についても検討していく。
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