本研究の目的は、医師と看護師の協働と医療の質指標との関連およびこの協働に関連する要因を検討し、協働的な組織づくりを考案することである。平成19年度は、国内外の文献レビュー等から医療の質指標に関する分類と整理を行った。その結果、医療の質指標には、患者・家族、医療者、組織と複数の分類軸があり、それらは主観的なものと客観的なものに分けられると考えられた。これらの指標から、患者や家族の満足度が高いことや治療の効果等に加え、医療者にとっても安全に医療が提供できる環境と医療者自身の満足度、そして組織がより健全に存続できることも含まれると考えられ、患者や家族側の視点に加えて医療者側と組織側の視点も加えた上でよりよい医療提供のありかたを構築する必要性が示唆された。 また、上記の指標については、本研究のキーワードである医師と看護師の協働が直接的あるいは間接的に関連するものとほとんど関連しないものが混在している。そのため、平成20年度に実施する調査に向けて最終的な目的変数の取捨選択を行い、医師と看護師の協働を促進・阻害する要因も含め、調査モデル全体の検討を行う必要性がある。さらに患者満足や医療者の満足度など主観的な指標についてはその内容が多様であり、内容自体の検討も引き続き必要である。 より医療の質を向上させ安全に医療を提供していくことが必須である医療現場においては、具体的な組織目標を定めるためにも医療の質指標を示すことの意義は大きいと考えられた。
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