平成17・18年度に実施した、「患者の医療従事者に対する情報提供についての意識と行動に関する調査」の解析を行った。その結果によると、多くの患者が自分の情報に関して強い抵抗感なく、できるだけ詳細に情報提供をしている現状が示唆された。また、患者属性による違いおよび健康統制感や自己効力感とは強い関連が見られなかった。しかし、病院内の他職種への情報共有において抵抗感を感じている、という患者からの意見もあり、全ての情報について患者が抵抗感なく看護師に情報提供し、病院内の全職員に共有して良いと思っているのではないことが伺えた。これらの結果を日本看護研究学会学術集会にて発表し、多くの研究者と情報交換を行った。 医療における意思決定への参加、ならびに自己情報コントロール権に関する意識は、今後ますます高まっていくことが予測される。このような状況の中で、自分で自分の情報をコントロールするという観点からこのニーズについて的確に捉え、それに適切に対処していく必要性が高まってくることが考えられる。そのため、患者が自分の情報をどのようにコントロールしたいかについて感度よく測定できる尺度の開発が望まれる。このような尺度作成に向けて、本年度は最近5年間の国内外の「情報プライバシー」「情報倫理」「情報管理」に関する文献検索を行い、自己情報コントロール権の概念枠組みをHealth Belief model(Rosenstockら)をもとに作成し、および自己情報コントロール権に関連する質問項目の精選を行い、質問紙の作成中である。質問紙調査は、平成20年度に施行予定である。
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