現代の高度情報化杜会のなかで、若者のコミュニケーション力の低下が指摘されている。本研究は近年急速に普及している電子メディアのなかでも特に利用頻度の高い携帯メールの利用状況が、コミュニケーションスキルにどのように影響しているのか、その関連性を明らかにし、看護学生のコミュニケーションについて検証することを目的とした。まずは、看護学生と同世代となる若者のコミュニケーションに焦点をあて、携帯メール依存、コミュニケーションスキルに関してのアンケート調査を実施した。対象は、研究目的と研究方法、自由意思および匿名性の保証について説明し、同意が得られた10代から20代の専門学校生および大学生935名(平均年齢20.43±2.8歳)であった。 結果は以下のとおりである。携帯メールへの依存状態が高い群と低い群を比較するとコミュニケーションスケールの下位因子である「対人過敏性」「アサーティブネス」「集団への適応」に有意差がみられた(p<.01)。つまり、携帯メールへの依存状態が高い者は、対人場面で過敏となり、集団の中で話すことや異なる意見を述べることに抵抗を感じる傾向があることが明らかとなった。またこれは男性よりも女性に強い傾向がみられた。一方で、携帯メール依存の因子別に検討した結果、携帯メールを過剰に利用するといった量的な依存状態にある者は、情動的な依存状態にある者より自己開示ができ、社交的に人と関わりをもつことができる側面のあることが分かった。このことから、一概に携帯メールに依存することがコミュニケーションに負の影響を及ぼしているとは言及できないことも明らかとなった。このような結果を踏まえ、今後は個人レベルでの依存パターンから、コミュニケーションスキルとの関連性を検証するとともに、対象を看護学生に絞り、量的研究で得た結果の解釈および精緻化を質的に検討していく計画である
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