糖尿病は自己管理が必要な病気であるが患者にとってライフスタイルを変容させていくことは容易ではない。特に、職業を持つ糖尿病患者は、社会的役割を担いながら療養を生活に取り入れていくことが求められ、より一層の困難が予測される。本研究では、職業を持つ2型糖尿病患者が就労しながらうまく糖尿病の療養を継続していけるための支援への示唆を得るために、就労している患者の特徴、また患者のセルフケア行動・メンタルヘルスに影響する要因について職場環境に着目し明らかにすることを目的とした。面接調査と配票調査を実施した結果、過重負担や夜勤の頻度などの職場環境要因はセルフケア行動と関連することが示された。就労している糖尿病患者は未就労者の患者に比べ運動の実行程度が低かった。職場で糖尿病について公表している人は約8割であり、公表している人はしていない人に比べ食事に関するセルフケアを実行できており、糖尿病による肯定的な変化を感じていた。糖尿病を持つことによる仕事への影響を感じている人は、良好なメンタルヘルスが保てていなかった。職場で相談できる人がいる人は良好なメンタルヘルスが維持できていた。これらの結果より、職業を持つ2型糖尿病患者の支援を考える上では、対象者が置かれている職場環境とともに、社会関係に着目していくことの必要性が示された。
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