研究概要 |
本研究では,ギアチェンジ期にあるがんサバイバーのスピリチュアルペインに対する支援方法を明らかにすることを目的としている。そのため,今年度は,日本がん看護学会や臨床倫理ワークショップなどに参加し,医療者のギアチェンジ期やスピリチュアルペンのとらえ方,スピリチュアルペインに対する具体的な取り組みの他,臨床研究の倫理性について情報収集や資料収集を行った。また,スピリチュアルペインに対する支援が重要であり充実している緩和ケア病棟に研究や参加観察で携わり,終末期のがんサバイバーのスピリチュアルペインやそれに対する支援の臨床現状について学んだ。がんサバイバーのギアチェンジ期は,がんの発症や診断の時期,積極的な治療が中心となる時期,それと並行して症状緩和医療が行われる時期も含まれている。がんサバイバーは,がんの発症や診断の時期からどの時期においても人生のいろいろなバランスを考えるものである。したがって,自己の存在と意味の消滅から生じる苦痛であるスピリチュアルペインは常に存在している可能性がある。医療者は終末期のみならず,どの時期においてもスピリチュアルな側面を支援していくこと,支援方法を身につけることは重要な課題である。ギアチェンジ期にがんサバイバーとかかわるのは一般病棟の看護師である。以上のことをふまえ,一般病棟の看護師に対して5段階の評価尺度法と自由記述法を併用した質問紙調査表を作成した。次年度質問紙調査の施行に活かすことにより,ギアチェンジ期のスピリチュアルペインの実際やそれに対応するときの困難を含めた支援の実際,看護師の認識や理解が明らかになり,がんサバイバーが早期に霊的安寧を獲得すること,高い生活の質を確保することができるような支援方法に対する示唆が得られる。
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