研究概要 |
近年のがんサバイバーは, 医学の進歩に伴う経過の長期化により, がんと生きる過程で幾度も治療法の決定や変更, 意思決定などが必要とされるギアチェンジ期をむかえる。彼らが抱えるスピリチュアルペインの実際やその支援方法について昨年の調査をもとに作成した質問紙を使用し調査を行った。調査は一般病棟でがん看護を行う看護師224名を対象に行い, 回収108名 (回収率482%), 有効回答102名(有効回答率94.4%)。結果は, 対象の平均年齢322歳。スピリチュアルペインを意識して関わる看護師は42.6%, 苦痛を表出するサバイバーを避けずに向かい合う看護師は36.2%だった。スピリチュアルペインの知識は充分かの質問には78.4%が充分と思わないとしており, 73.5%が学習したいと答えていた。がんサバイバーがスピリチュアルペインを抱える場面で, 多くの看護師が時間存在を失って苦悩する場面は経験があると答えたが, 関係存在や自律存在については経験がない, わからないと答えていた。看護師は, スピリチュアルペインを漠然としか捉えておらず, どのように表現されるかを意識せずに関わっていることが示唆された。がんサバイバーが時間存在を失った苦悩として「どれだけ生きられるか」, 「一緒に過ごせる時間がない」, 「やりたいことができない」, 「まだ死ねない,生きたい」, 「終わりだ,もう死ぬのだ」などがあった。関係存在を失った苦悩として「家人と疎遠, 遠方にいる」, 嫁人との意見の違い」, 「周囲への不信感」, 「一人にしないでそばにいてほしい」, 「人から忘れられる」, 「何のために生まれたのか」などがあった。自律存在を失った苦悩として頃分では何もできない」, 「人に手を借りなければならない」, 「症状の変化についていけない」などがあった。看護師は傾聴や見守り,カンファレンス, 家人や他職種との協力などの支援を行いながら, 自分への無力感, 死をあつかう重圧感, 他業務との均衡などを感じていた。
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