平成19年度の研究計画は、1.がん看護および糖尿病看護、セルフケアに関する先行研究を検索する、2.がんと糖尿病を併せ持つ高齢患者のセルフケア状況ならびにがん・糖尿病のとらえ方について実態調査を行う、3.専門領域の学術集会に参加し、がんおよび糖尿病を持つ高齢患者への支援についての情報を得ることであった。それぞれについて実績概要を説明する。 1.平成19年5月から平成20年3月を通して国内外の文献検討を行った。 2.平成19年7月に福井大学医学部倫理審査委員会の承認を受け、8〜3月にF県内の総合病院に入院もしくは通院中のがんと糖尿病を併せ持つ高齢者6名(男性4名、女性2名、平均年齢72.5歳)を対象に面接調査を行った。がんと糖尿病を併せ持つ高齢患者のセルフケアの実態調査のデータを、がん・糖尿病をどのように捉え、どのようにセルフケアを行っているかという視点で質的に分析した。その結果、捉え方はがんの診断時期や症状等により変化しており、症状が落ち着いている2名は「がんよりも糖尿病が大変・怖い」と述べていた。セルフケアに関しては、糖尿病歴の長い患者はこれまで自分の行ってきた糖尿病のセルフケアをべースにがんに対する配慮をしていた。また、4名は「がんに関して何をしていいのか分からない」と述べ、5名の対象者が民間療法や健康食品などを試みていた。 3.日本糖尿病教育・看護学会学術集会(9月)、日本がん看護学会学術集会(2月)に参加し、糖尿病と他の疾患を併せ持つ患者への看護や、高齢がん患者のもつ複合的な苦痛のコントロールへの支援の重要性についての知見を得ることができた。 現在、上記の知見をもとに、セルフケア支援プログラム案を作成中である。
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