研究概要 |
本研究の目的は,在院日数の短縮化によって従来入院中に行われていた検査や治療,退院後の生活に必要な支援が,外来で患者にとって必要十分に行われているか,外来がん看護の実態を把握し,外来通院をしながら地域で生活するがん患者の支援のために,患者がどのような医療および心理社会的支援を必要としているのか明らかにすることである。初年度は,研究計画がスムーズに遂行されるため,患者への倫理的な配慮が十分に行われるための体制作りを行い,計画の倫理審査を受けた。そしてデータ収集を開始し,本年度は入院時6名,退院時6名,退院後1か月時4名,退院3〜6か月時1名の面接を行った。QOL指標に指標は,FACT-0合計点の平均値は手術前が最も高く手術後は回復過程にあった。POMS短縮版による情緒状態は,手術前はもっとも緊張・不安が顕著に高かったものの術後は低下し,逆に化学療法を受けた者もあり疲労感が多く報告され,TMDが示す全般的な情緒不安定さは退院時,退院後が高かった。MBSSによるコーピングスタイルは,1名がモニター,5名はブランターとされた。基準値について再検討が必要と考えられ,別途大学生320名を対象に検討を行った。入院中,外来でどの職種からどんな支援を受けたか,どのような支援を求めるかについては,化学療法等により食事摂取(食欲不振,貧血,易感染状態等を含む)の課題を持つ患者も含まれていたが,全般的に入院中に主治医,病棟看護師からの情報提供のみで,栄養士や薬剤師からの情報提供や支援を受けていなかった。また,患者側からの要望もなかった。この点においては,MBSSのタイプがほとんどブランターであったことと一致した。次年度は症例数を増やし,再発治療患者へも開始し,比較を行う予定である。
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