研究目的であるターミナル期の患児・家族と看護師の認識のずれの存在の有無、構造、特徴とその影響要因について明らかにするため、国内・海外の文献検討を行い、調査方法の検討、分析方法の検討を行った。 ターミナル期の小児がん患児と家族の現状について、「ターミナル」、「終末期」、「小児がん」をキーワードとして抽出された29文献、認識のずれ」、「認識の相違」をキーワードに検索した49文献を分析したところ、以下の点が明らかになった。 ターミナル期の患児・家族は身体的・精神的苦痛の大きい状態であることが報告されている。調査方法では子どもを亡くした経験のある家族に直接面接調査を行った研究はとても少なく、看護師に対する面接調査を通して子どもと家族の現状を明らかにしたものが大半であったことより、子どもを亡くした家族に直接調査を行うことの難しさが示唆された。また、ターミナル期の小児がん患児と家族をケアする看護師の現状について、ターミナル期の患児・家族のケアを行う看護師の多くが、ケアの実施に難しさを感じながらも、子どもの身体的・精神的苦痛の緩和、家族の精神的ケアを積極的に行っていることが報告されている。 認識のずれについて、「近年、精神看護、がん看護の告知場面において注目され始めており、看護師に対する質問紙調査、面接研究により認識のずれが存在する現状について報告されている。しかし、小児のターミナルケアにおいての報告、看護師と家族の間の認識のずれについての報告はほとんど無く、看護師と家族のそれぞれの経験は明らかにされているが、その認識のずれの特徴や影響要因については明らかにされていない。 以上の結果より、ターミナルケアを行っている病棟の看護師を対象とする面接調査を計画した。今後は、面接調査の実施に向けて面接内容の詳細についての検討、面接調査の実施を行う。
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